はじめに
『シン・ウルトラマン』を鑑賞するに至った経緯を説明する。私は昨年11月末に『ゲッターロボ』シリーズのOVA『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』(以下チェンゲ)を観て、主人公・號の見返りを求めぬ献身の姿勢が好きになったのだ。(顔の良さもあるが……)
彼を理解するのは劇中だけでは難しいこともある。なぜなら彼は寡黙であり、自分で話すより他のキャラクターがその気持ちを代弁することが多いからである。とはいえ、私は號の気持ちを咀嚼し理解することにひたすら努めてたら半年が経っていたし、彼以外のキャラクターにも愛着が湧いた。(そして気がつけばゲッターロボシリーズにのめり込んでいた話はまた今度)20年余り生きてきて初めて、自分が「見返りを求めず、ただ人類を愛し、振り向くことなく立ち向かう、クールながら熱い心を秘めた主人公」が好きであると知ったわけである。
そんな中、フォロワーの方から勧められたのが『シン・ウルトラマン』である。ゲッターロボの後にゲッターロボのフォロワー的作品の『トップをねらえ!』を観て庵野秀明氏の作品の面白さは知っていたので、勉強のつもりで『シン・ウルトラマン』を観るに至ったのである。
リアルすぎて生々しいから、という理由で実写作品に苦手意識を持っていた私は、特撮物も食わず嫌いしていたために「ウルトラマンが人間から変身して怪獣と戦う」という雑めな知識しか持ち合わせてなかった。ある意味貴重な人材かもしれない。まあ何はともあれ、私は何年も前からの歴戦のフォロワー・うりくらげ氏と共に鑑賞する運びとなった。(彼女曰く、『シン・ウルトラマン』の鑑賞はこれで4周になるらしい)
前置きが長くなってしまったが、ここからは本編映像のシーンに細かめに言及していく。ネタバレになるので、この先は未見の方は読まないことを推奨する。
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